
こんにちは。ゆうです。
いよいよ夏も近づいてきましたね。
海に行ったり山に行ったりと、お出かけの季節。
夏になると「お肌」の紫外線ケアは意識するけれど、「髪」の紫外線対策は意外と忘れがちではないでしょうか?
紫外線と聞くと、お肌の日焼けやシミ・シワ対策が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
でも実は、髪や頭皮もお肌と同じように紫外線のダメージを受けており、無防備な状態では枝毛・切れ毛・乾燥・退色などのトラブルが起きやすくなります。
処方開発の現場では、「髪がパサつく」「カラーの褪色が早い気がする」という声が多く寄せられます。
そこで今回は、髪の紫外線ケアについて、専門的な内容も含めながらなるべくわかりやすく解説していきたいと思います!
髪が受ける紫外線のダメージとは?
“髪も日焼けする”、といってもお肌のように赤くなったり黒くなったりするわけではありません。
ですが、いつの間にか気付いたら髪の調子が悪い…などということになっているかもしれません。
さて、そんな髪の主成分は“ケラチン”と呼ばれるタンパク質です。
髪に対しては紫外線の中でも特にUV-AやUV-Bの影響が大きく、ケラチンへのダメージが避けられません。
紫外線によるダメージにはどのようなものがあるか、以下で解説していきます。
紫外線によるアミノ酸の変性
ケラチンを構成するアミノ酸の中でも、以下のようなアミノ酸が紫外線による影響を受けやすいとされています。
・チロシン
・トリプトファン
・フェニルアラニン
・システイン
芳香族アミノ酸に分類されるチロシン、トリプトファン、フェニルアラニンなどは、紫外線吸収により励起状態(一時的にエネルギーが高まる、動きが活発になる、不安定になる)になることで、アミノ酸自身が壊れたり周りの分子と反応して構造が崩れてしまいます。
また、システインはジスルフィド結合によってシスチンと呼ばれる分子を形成します。
シスチンは髪の構造によってとても重要な化合物で、毛髪内部では“橋”のような働きをして、強さや弾力をキープしてくれています。
しかしこのシスチン中のジスルフィド結合は紫外線により切断されるため、“橋”が崩れ、髪の内部が弱くなってしまいます。
メラニン色素が壊れる
毛髪の色を決めている“メラニン色素”にも影響が及びます。
メラニン色素は紫外線によって分解されやすいため、構造が壊れて色素量が減少していきます。
つまり色が抜けたり、黄ばみや赤みなど、望ましくない色味の変化が生じます。
特に明るい髪色やブリーチ毛は紫外線によるダメージリスクが高いことが知られています。
ブリーチ処理している髪はメラニン色素をほぼ失っているため、紫外線の影響を直接受けやすくなっており、よりダメージしやすい状態にあります。
またヘアカラーに使う染料も紫外線によって分解されやすく、カラー褪色や変色の原因となります。
さらにメラニン色素が分解される過程では“活性酸素種”が発生し、ケラチン自体の構造が崩れていきます。
これも髪のダメージ要因の一つとなります。
お肌だけじゃない、髪の紫外線ケアの必要性
近年では“髪の日焼け止め”という意識が少しずつ広がり、スプレーやスタイリング剤、アウトバストリートメントなども増えてきました。
ヘアケア処方開発においては、以下のようなアプローチで紫外線ダメージを抑える製品設計を行っています。
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(吸収剤)や酸化チタン(反射剤)などの紫外線ケア成分を配合
・紫外線による酸化ストレスから髪や頭皮を守るため、ビタミンEなどの抗酸化成分を配合
・紫外線による乾燥、タンパク質ダメージなどをケアするため、セラミドやケラチンなどの保湿、補修成分を配合
これらはお肌の紫外線ケアと似た考え方ですが、“髪は自己再生できない細胞”という点がお肌と大きく異なります。
一度ダメージを受けた髪は自力では元に戻ることはないので、ダメージを受けないようにケアしてあげることが大切です。
ちなみに、PAとかSPFといった紫外線ケア能を示す指標がありますが、これはお肌に対するものです。
髪で測定したものではないので、ヘアケアで明確な指標はありません。
また直接的に髪の紫外線ケアを訴求することができないケースがありますので、広告表現にも注意が必要です。
実践したい!髪の紫外線ケア方法
では、日常でできる髪の紫外線対策にはどんなものがあるのでしょうか?
処方の話も含め、効果的な方法をいくつかご紹介していきます。
紫外線ケア効果のあるヘアケアアイテムを使う

朝のスタイリング時に紫外線カットスプレーやミスト、スタイリング剤などを取り入れるだけで、日中の紫外線ダメージを軽減できます。
顔や腕に日焼け止めを塗るのと同じように、髪にも“日焼け止め”という意識を持つことが大切です。
特に、紫外線が直接当たりやすい分け目、頭頂部、髪の表面は重点的に保護するように心がけましょう!
近年ではスタイリング剤にも紫外線ケア効果を持たせた製品も増えていますので、毎朝のルーティンに無理なく取り入れられる点も魅力ですね♪
帽子や日傘で物理的に遮断

紫外線対策として最も確実で即効性があるのが、帽子や日傘などでの物理的遮断です。
紫外線が直接髪と頭皮に当たるのを防いでくれます。
通勤、通学や外出時など、日中に長時間屋外にいるシーンでは積極的に取り入れたい方法です。
また頭皮の炎症リスクなども抑えられるので、“未来の髪”という観点からも効果的です♪
夜のケアで日中のダメージを補修

紫外線をたくさん浴びた日の夜は、保湿や補修などをしてしっかりケアしてあげることが重要です。
低刺激のシャンプーやトリートメントで頭皮と髪を優しく洗って補修することも大事ですが、それだけでなく保湿と補修を兼ね備えた“アウトバストリートメント”を取り入れることも効果的です。
日中はしっかり守って、夜にも丁寧にケアをする、というサイクルを意識すると紫外線ダメージの蓄積を抑え、健康でツヤのある髪をキープしやすくなります♪
まとめ:美しい髪をキープするには、見えない紫外線対策が鍵
“紫外線=夏のもの”というイメージがあるかもしれませんが、冬の時期でも紫外線は地上に到達しますし、4月頃から紫外線量は徐々に増え始め、7〜8月頃にピークを迎えると言われています。
また紫外線の種類によっては窓ガラスを透過するため、室内でも手放しで安心はできません。
毎日のヘアケアに紫外線対策を組み込むことが、これからの時代のスタンダードになっていくことでしょう。
髪のダメージは目に見えにくい分、気付くのが遅れがちです。
しかし日々少しづつ蓄積する紫外線の影響というのは無視できるものではありません。
お肌と同じように、髪や頭皮も日焼け対策が必要なのです。
ぜひ、毎日の習慣に“髪の紫外線ケア”を取り入れて、美しく健やかな髪を守っていきましょう!
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