こんにちは。ゆうです。
ラウレス硫酸○○という成分、ご存知でしょうか。
化粧品に詳しい人にはお馴染みかもしれません。
シャンプー解説などでよく出てくる界面活性剤(洗浄成分)です。
さてこの成分、検索してみると悪者扱いされていることがありますが、果たして本当にダメな成分なのでしょうか…?
たくさんの方が解説されていますので今更ながらですが、私なりに、化粧品開発者目線から解説してみたいと思います。
「ラウレス」と「ラウリル」は違う!
今からお話するのは、“ラウレス”硫酸系についてです。
似たような名前で、“ラウリル”というものがありますが、これはまた違います。
この“ラウリル”が入っているシャンプーは今はほとんどないと思いますが、これは入っているとちょっとマズいかなと思います。
なので、ラウレス硫酸系の界面活性剤のお話をする前に少し“ラウリル”についても触れておきたいと思います。
ラウレス硫酸系
「系」のところには、ナトリウム(Na)やアンモニウムという成分名がくっついて、ラウレス硫酸ナトリウム、とかラウレス硫酸アンモニウム、と呼ばれます。これらは化学の世界では“塩(エン)”と言います。“しお”ではありません。“ラウレス硫酸”に塩(エン)がくっつくことで成分が“中和”されて使いやすくなります。
少し難しい話なので、わからなくても大丈夫です。フーンと思っておいてください。
※今回のお話に出てくるのはこっちです!
ラウリル硫酸系
とても似ていますが、違うものです。
こちらは今ではシャンプーに使われることはほぼないと思います。
泡立ちや洗浄力が高いですが、皮膚への浸透性も高いので、とても刺激の強い成分として知られています。
ゆう的にはラウリル硫酸系の成分が入ってたらそのシャンプーは使わない!というくらいの成分です。
頭皮も顔も手も何だか全部カサカサになりそうです。笑
そこで、この成分の悪いところを緩和しようと作られたのが、“ラウレス”硫酸系の界面活性剤です。
何が違う?
とても簡単に言うと、化学構造的に、炭素(C)の数が違います。
“ラウリル”の方が炭素の数が少なく、小さい構造をしているので、お肌にも浸透しやすく、刺激も強くなってしまいます。
一方、“ラウレス”はもう少し炭素の数を多くしたもので、“ラウリル”より大きい構造にして、浸透性や刺激性を程よいものにするために作られた成分です。
ラウレス硫酸系はNG?
では本題。
ラウレス硫酸系の界面活性剤が入っているシャンプーは良くないのでしょうか?
結論、“そんなことはない”と私は思っています。
私は会社の方針として、アミノ酸系の界面活性剤を中心に使いますが、個人的にはラウレス硫酸系の界面活性剤だからダメとは思っていません。
あくまで“会社の方針”
ラウレス硫酸系の界面活性剤でも、自分の理想の仕上がりになったり身体へのトラブルがなかったりするのであれば、それほど気にする必要はないと思います。
では、なぜ悪者扱いされているのか?
・洗浄力が強く、頭皮が乾燥するから
・頭皮トラブルにつながるから
・石油系の原料だから
・タンパク変性率が高いから(後述します)
おそらくこういった情報によるものでしょう。
ラウレス硫酸系単独で見ればそういう一面もありますが、
シャンプーとしてトータルでみて洗浄力が強すぎなければ良いですし、頭皮に安全であれば良いのです。
大事なのは、ひとつの成分に左右されるのではなく製品全体として見ること。
一部の偏った声に惑わされないように注意していきましょう!
薬か毒か、みたいな話
化学の世界には、「薬か毒かを決めるのは、量だ」みたいな話があります。
といってもちょっとわかりにくいので、お食事の話にしてみます。
塩分の取りすぎはダメ!とよく言いませんか?
といっても、“塩”自体が悪いわけではないですよね。
お料理では、適切に使って味を整えます。
でも摂取する量が過剰だと身体には良くないことがありますよね。
他にも、しょうゆも大量に摂取すると体に毒ですし、もっと言えば、水も超過剰に摂取すると水中毒で命に関わることがあります。
だからと言って、塩やしょうゆや水が悪いわけではないですね。
私たちの生活には欠かせないものです。
ちょっと無理やり感がありますが、ラウレス硫酸Naも同じで、入っているからダメというのはちょっと極端な話かなと思います。
適切な量であれば有用な成分と言えます。
タンパク変性率の話
また“タンパク変性率”という指標がヘアケア業界ではよく登場します。
これは、“タンパク質を変性させる力の度合い”を表します。
ヒトの身体は、水分や脂質を除くと、ほとんどがタンパク質でできています。
髪の毛も一緒で、髪の毛のおよそ80%がタンパク質でできています。
タンパク質というのは、ある特定の“構造(形)”を持っていて、その形を保っているからこそタンパク質としての機能を果たします。しかしその形が崩れてしまうと、タンパク質としての仕事ができなくなってしまうのです。
イメージで言うと、DIYで本棚を作ろうとした時に、ネジを間違えたり、部品を付け違えたりすると、ちゃんとした本棚にはなりませんよね。
少しのズレなら本棚として機能しますが、木の本棚だったとして、その木が腐ってきた、なんてことになればもう本棚として使えなくなってしまいます。
タンパク質も一緒で、何かが原因でタンパク質が壊れる(これをタンパク“変性”といいます)とヒトの身体ではうまく機能しなくなってしまいます。
髪の毛で言うと、タンパク変性のきっかけとなるのは、
・ドライヤーやヘアアイロンの熱
・太陽などからの紫外線
・美容院でのカラー・パーマ
など様々あります。
タンパク変性が起こると、髪が硬くなったり、ゴワついたり、パサついたりします。
特に、セルフでホームカラーなんかをすると、より髪はダメージを受けてしまいます。
結論、ラウレス硫酸系はNGじゃない‼️
結局、ラウレス硫酸系の界面活性剤はどうなのか、というお話ですが、
ラウレス硫酸系という成分単独で考えると、洗浄力が高かったり、タンパク変性率が高かったりするものもありますが、それらが配合されたシャンプーだからといって悪いわけではありません。
塩取りすぎはダメでも適度であれば良いのと同じように、
ラウレス硫酸系もシャンプーとしてみたときに、洗浄力が強すぎず、タンパク変性率も高すぎず、頭皮を健やかに保つことができれば配合されていても問題なし!ということです。
逆に、ラウレス硫酸系が入っていなくても、洗浄力が強く頭皮が乾燥するもの、髪のタンパク質が壊れてパサついてしまうものもあったりしますので、シャンプーとして総合的にどうか?という目線で判断しないといけません。
企業のマーケティングに惑わされず、過度に恐れたり避けたりせず、自分の髪・肌に合うものを見つけてもらえるよう、これからもこのブログを通して情報発信していきます!
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