
こんにちは。ゆうです。
今回取り上げるのは、“界面活性剤”
シャンプーやクレンジング、乳液やクリームなど、私たちが毎日使っている化粧品には、必ずといって良いほど“界面活性剤”が配合されています。
一見するとなんだか難しそうな用語ですが、実がとても身近で化粧品に欠かせない存在なのです。
そんな“界面活性剤”とは一体何なのでしょうか?
お話ししていきたいと思います♪
界面活性剤とは?

界面活性剤の一番大きな特徴は、“水と油をくっつけたり、なじみよくする”こと。
異なる物質の境界面に作用して、それらをくっつける。
その境界面のことを化学の世界では“界面”と呼びます。
界面に作用してくっつける=活性化させるので、“界面活性剤”と呼ばれています。
この特徴があるおかげで、食器の油汚れを落としたり、ふわふわの泡を作れたり、乳液やクリームを作れたりします。
界面活性剤の主な働き

界面活性剤の基本の働きは、“水と油をくっつけたり、なじみよくする”こと。
ここでは、界面活性剤が持つ4つの働きについてお話ししていきます。
4つはそれぞれ別々の働きに見えるかもしれませんが、全て同じ“基本の働き”が元になっているんです!
洗浄作用
“汚れを落とす力”です。
髪や肌には、皮脂や汗、ホコリ、スタイリング剤などの油汚れが付いています。
水だけではなかなか落ちませんが、界面活性剤は水と油になじむ性質を持っているので、油汚れをキャッチして、水と一緒に流してくれるのです。
<アイテム>
シャンプー、石鹸、ボディソープ、洗剤 など
乳化作用
“水と油を混ぜる力”です。
基本の働きは洗浄と同じです。
乳化作用では、水と油が安定的に混ざり合った状態を作り出します。
余談ですが、マヨネーズは乳化の力を使ってできたものです。
そして卵には乳化作用のある界面活性剤がもともと含まれているので、卵を使うことで乳化ができてしまうんですね。
<アイテム>
ヘアトリートメント、乳液、ワックス、スタイリング剤 など
可溶化作用
“水に油を溶かし込む力”です。
これも基本は洗浄、乳化と同じ。
水に溶けにくい成分を水に溶けたように見せる効果があるので、透明な化粧水の中に油系の美容成分を透明なまま溶かし込むことができます。
可溶化作用のおかげで透明で安定な処方を作ることができるのです。
<アイテム>
シャンプー、ヘアオイル、化粧水 など
起泡作用
“泡を作る力”です。
シャンプーや洗顔料でできる、もこもこ泡も界面活性剤よる働きです。
これは、水と空気の境界面(界面)に作用して、泡を作っています。
そしてこの泡にも秘密が。
ある程度細かい泡なら、油を吸着して除去する働きもあります。
つまり、適切な泡を作ることができれば、自然と油汚れを取り除くことができるのです。
ちなみに“起泡力が高い≠洗浄力が高い”です。
必ずしもイコールとは限りません。
泡立たなくても洗浄力の強い界面活性剤はあります。
メイクのクレンジング剤とかは、泡はそれほど立たないですが、油汚れをしっかりと落とすことができますからね。
<アイテム>
シャンプー、石鹸、ボディソープ など
界面活性剤の種類と特徴
界面活性剤には大きく分けて4つの種類があります。
これらは、イオン性によって分けることが一般的です。
イオン性の違いによって、それぞれ得意とする働きや特徴が異なります。
それぞれ見ていきましょう♪
アニオン性界面活性剤
マイナスの電荷を持った界面活性剤で、洗浄力や起泡力に優れています。
これらは、シャンプーやボディソープなどの洗浄系の製品に使われることが多いですね。
<よくある成分>
ラウレス硫酸Na、ココイルグルタミン酸Na、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルタウリンNa など
<配合の目的>
洗浄、泡立ち など
カチオン性界面活性剤
プラスの電荷を持った界面活性剤で、乳化作用や髪の補修力に優れています。
ヘアトリートメントなどに使われる成分で、髪に吸着してコンディションをよくする働きがあります。
また、髪に発生する静電気を抑える効果も期待できます。
<よくある成分>
ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート など
<配合の目的>
乳化、髪への吸着(補修)、帯電防止(静電気抑制) など
ノニオン性界面活性剤
マイナスもプラスも電荷を持たない界面活性剤で、乳化作用や可溶化作用に優れています。
比較的低刺激な界面活性剤としても知られています。
洗い流さないトリートメントや乳液などの製品に使われることが多いですね。
<よくある成分>
PEG-10水添ヒマシ油、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル-10 など
<配合の目的>
乳化、可溶化、クレンジング など
両性界面活性剤
マイナスもプラスも両方の電荷を持った界面活性剤です。
「ベタイン」という名前のものがよく知られていますね。
マイルドで優しいものが多く洗浄助剤としての働きがあります。
シャンプーなどで、アニオン性界面活性剤と組み合わせて使われることが多いですね。
<よくある成分>
コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸Na、ラウラミンオキシド、ラウリミノジプロピオン酸Na など
<配合の目的>
洗浄、泡立ち など
界面活性剤の安全性について

一部、ネットやSNSでは、
「界面活性剤は肌に悪い」「髪を傷める」
といった声を見かけることがあります。
ですが実際のところ、そんなことはありません。
もちろん、界面活性剤をそのまま髪やお肌に塗ったら、痒くなったり、炎症が起こったり、刺激になったりすることもあります。
でもそんな使い方は普通ではありません。
極端過ぎますね。笑
化粧品では配合量や種類などを細かく調整して処方を考えています。
そして安全性の試験などもしっかりと行なっています。
大切なのは、“界面活性剤を一括りにして悪者扱いしない”こと。
これは界面活性剤に限ったことではありません。
化粧品においては処方全体として見ないといけませんので、一つの成分だけで判断するのは偏った考え方ですね。
一つの成分のいろんな情報に惑わされることなく、自分の髪や肌に合ったアイテムを選ぶことが、美容においては一番大切だと思います。
まとめ
界面活性剤は、ヘアケア、スキンケア、メイクなど、あらゆる化粧品のキーパーソンです。
水と油をなじませるという、基本の役割はシンプルですが、洗浄・乳化・可溶化・起泡といった働きを担い、化粧品による日々の生活の満足度を上げてくれています。
そして持っているイオン性の違いによって得意とする働きや特徴は異なります。
また、界面活性剤は悪者と言われることもありますが、実際には処方の中で配合量や種類を工夫することで安心で心地良い製品が作られているのです。
化粧品開発には欠かせない、界面活性剤。
化粧品を使うとき、裏方で働く界面活性剤にも思いを馳せてみてください。
自分に合うヘアケアアイテムを見つけるヒントになるかもしれません。
ヘアケア選びをもっとおもしろく、納得感のあるものにしていきましょう♪
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