【ラウレス】って何?ヘアケア研究員が伝えたいこと

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ラウレス

こんにちは。
ヘアケアメーカーで研究員をしている、ゆうです。

シャンプーの成分を見ていると、

・ラウレス硫酸Na
・ラウレス-4カルボン酸Na

などの名前を目にすることがありませんか?

この中の“ラウレス”というワード、どんなイメージをお持ちでしょうか?
ネット上には、「刺激が強い」とか、「肌や髪に悪い」とか、そんな情報が多いので、悪いイメージがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

“ラウレス”とついているだけで、ネガティブな印象で語られることもありますが、実は、“ラウレス”は化学構造を示す言葉に過ぎません。

今回は、そんな“ラウレス”という言葉の正しい意味と正しい捉え方について、処方開発者の視点からお話ししていきます。

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ラウレスとは?

ラウリルアルコール

“ラウレス”というのは、専門的な用語を使って言うと、

【ラウリルアルコール】+【酸化エチレン】

を意味します。
これではよくわかりませんよね。笑

ラウリルアルコールというのは、ヤシの実などから採れる“高級アルコール”の一種。
高級アルコールというのは、油みたいなものと思ってください。ざっくりとですが。

もう少し説明すると、“高級”というのは、高価なという意味ではなく、“炭素の数が多い”ことを意味します。
ラウリルというのは、炭素が12個つながった化学構造を表します。
なので簡単にいうと、炭素が12個くっついたアルコール、ということです。

そして酸化エチレンというのは、酸素や炭素でできた化合物です。
これは炭素の数を長くしたり短くしたりすることで、その成分の水溶性(水への溶けやすさ)や刺激性、起泡性などを調整できます。

ちなみに、“高級”があるということは“低級”アルコールというものもあり、これは炭素の数が少ないアルコールを意味します。
さらにちなみに、一般的に消毒用アルコールとして知られるアルコールは炭素が2個の低級アルコールに分類されます。

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ラウレスと名前がつく界面活性剤(洗浄成分)

ラウレス洗浄剤

“ラウレス”という名前がつく成分は、実はいくつもあります。
よく見かける成分を紹介していきます。

ラウレス硫酸Na

しっかりとした洗浄力があり、泡立ちが良い洗浄成分です。
世界中で広く使われています。
使い方によっては髪や頭皮への負担が懸念されますが、うまく処方設計すれば安全なシャンプーは作れます。

ラウレス-4カルボン酸Na

比較的マイルドで、敏感肌の方にも使っていただきやすい洗浄成分です。
ラウレス硫酸Naより泡量は劣る印象ですが、処方次第で適度な泡立ちに調整できます。
ただし、しっかりがっつり汚れを落としたい!という方には少し物足りないかもしれません。

ラウレス-6カルボン酸Na

ラウレス-4カルボン酸Naよりさらに低刺激な洗浄成分です。
酸化エチレンと呼ばれる部分の炭素の数がラウレス-4カルボン酸Naより少し長くなっています。

このようにラウレスとついていても、“名前の末尾に何がついているか?”“酸化エチレンの数はいくつか?”などによって性質は違ってきます。

『ラウレス=洗浄力が強い、刺激が強い』とよくいわれますが、ラウレスというのはあくまでも成分の一部を表す名前。
ラウレス硫酸Naなのか、ラウレス-4カルボン酸Naなのかを区別して、正しく認識していきたいところです。

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ラウレスは成分の一部

ここがとても大事なポイントです。
“ラウレス”というのは、その成分全体の名前ではなく、化学構造の一部を表しているだけです。

例えばラウレス硫酸Naでイメージを説明すると、

ラウリルアルコール+酸化エチレン→“ラウレス”の出来上がり
ラウレスに“硫酸”をくっつけて、ナトリウム(Na)で中和する→ラウレス硫酸Naの出来上がり

となります。

この時に、ラウレスにカルボン酸をくっつけるとまた別の洗浄成分になる。
一部共通していますが、出来上がるものは別物というわけですね。

ラウレスをひとくくりにしないで!

処方設計

ネットなどでは、「ラウレスは刺激が強いからNG!」「ラウレスは避けるべき!」という情報を目にすることがありますが、これは少し乱暴な言い方です。

たしかに、ラウレス硫酸Naが配合されているシャンプーの中には刺激が強かったり、お肌に合わない方もいらっしゃるかもしれません。

でもラウレスという構造を持つ洗浄成分の中には、マイルド洗浄力のもの、低刺激なものもあります。
また実際の洗い心地や刺激の強さは配合されている一つの成分だけで決まるものではなく、

・配合されている量
・他の洗浄成分との組み合わせ
・処方全体のバランス

などによって決まります。

なので、ラウレスという言葉だけを見てそのシャンプーの良し悪しを判断するのは、ちょっと誤ったやり方ですね。

まとめ

“ラウレス”という言葉は、シャンプー成分の中でとてもよく登場します。
ですが、これは成分名ではなく化学構造を表す言葉。

ラウレスとつく成分はいくつもあり、洗浄力の高いものもあれば、マイルドなものもあります。
同じラウレスでも性質や特性が異なったものはたくさんあります。

大切なのは、“ラウレス”という言葉だけ見て判断しないこと。
ラウレスだから刺激が強い、と決めつけるのではなく、その成分名を見て、その性質や使われ方を理解することが、自分に合ったシャンプーを見つける近道です♪

本来、成分だけでお話しするのはとても難しいことです。
処方全体としてどのように設計されているのかを見ずに、一つの成分だけでそのシャンプーを判断することもできません。

一つの成分、一つの化学構造に振り回されてしまう人が少しでも減るように、これからもヘアケアのあれこれ、発信していきたいと思います♪

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